産後の性交痛は、めずらしいことではありません
出産のあと、性交のときに痛みやひりつきを感じる方は少なくありません。「出産したのだから仕方ない」「人に聞くことではない」と一人で抱えがちですが、医療機関で相談してよい症状のひとつです。痛みを我慢して続けると、体がこわばって痛みが強くなる悪循環に入ることもあります。
痛みにつながりやすい理由
原因はひとつとは限らず、いくつかが重なっていることがよくあります。
- 会陰切開や会陰の裂けた部分の傷あとが、引きつれたり敏感になったりしている
- 授乳中は女性ホルモン(エストロゲン)が低い状態が続き、腟がうるおいにくく、粘膜が薄くなりやすい
- 痛みへの不安から骨盤底の筋肉が無意識に緊張し、入口が硬くなる
- 寝不足や疲れ、気持ちの余裕のなさで、体がリラックスしにくい
- 尿もれや下がる感じ(骨盤臓器脱)など、骨盤底のほかの変化が気になっている
再開の時期の考え方
性生活を再開する時期に決まった正解はありません。一般には、産後の健診で傷の治りや体の回復を確認してもらい、悪露が落ち着いてからが目安とされます。気持ちが追いつかないときは、急がなくてかまいません。パートナーと「いまの体の状態」を言葉にして共有しておくと、無理をしにくくなります。
自分でできる工夫
- 痛みを感じたら我慢せずに中断する
- 腟の乾燥が気になるときは、潤滑剤を使う
- 体勢を変え、自分で深さや動きを調節できる姿勢を選ぶ
- 時間に余裕のあるときを選び、体を温めてリラックスする
- 骨盤底筋を「締める」だけでなく、「ゆるめる」感覚も練習する(息を吐きながら力を抜く)
工夫しても痛みが変わらない、むしろ強くなる場合は、自己流で続けずに相談してください。
早めに相談したほうがよいサイン
- 痛みが数か月たっても続く、または強くなっている
- 性交のあとに出血がある
- 傷あとが腫れている、盛り上がっている、しこりのように触れる
- 尿もれ、便やガスのもれ、腟から何かが下がる感じを伴う
- 気分の落ち込みが続き、日常生活がつらい
何科に相談するか
まずは、出産した施設やかかりつけの産婦人科が窓口になります。傷あとの状態、腟の乾燥、感染の有無などを診察で確かめてもらえます。骨盤底の筋肉の緊張が強い場合は、骨盤底のリハビリに携わる理学療法士の指導が受けられる施設もあります。尿もれや下がる感じを伴うときは、女性の骨盤底を専門に扱う泌尿器科・ウロギネ外来も相談先になります。
受診のときに伝えるとよいこと
- いつ出産したか、分娩の方法(会陰切開や裂傷の有無)
- 痛む場所(入口か奥か)と、どんなときに痛むか
- 授乳中かどうか
- 尿もれ・便もれ・下がる感じなど、ほかに気になること
話しにくい内容は、メモに書いて渡すだけでもかまいません。NAPHの症状チェックで作れる受診メモも使えます。

