骨盤底筋とは

骨盤底筋群とは

骨盤底筋群とは

骨盤底筋群は、ヒトにとって排泄や性機能のコントロール、体幹機能にまで関わるとても大事な組織ですが、意外とその名を知られていません。
“筋肉群”という名前ですが、実際には筋肉だけでなく、様々な組織が骨盤周囲とも連動し機能しています。
最近、膣トレや骨盤底筋体操などで知られるようになった骨盤底筋群について、今日は骨盤底筋群が、どこにあって、どのような組織から形成され、どんな機能を果たしているか解説していきます。

歴史

骨盤底筋群は、進化の歴史のなかで、私たちヒトが2足歩行をするようになってから内臓を支える構造としてその重要度が増しました。骨盤底筋群で最も主要な筋肉である肛門挙筋は、ヒト以外の動物では、尾を動かすことが主の役割でした。直立二足歩行を行うヒトでは,姿勢の変化による影響を受けて、その役割が骨盤内臓器の保持へと変化したとされています。
このため比較的近年になってから得られた機能が多く、”骨盤底筋群及びその機能は脆くて弱い”とされています。私たちヒトは立ったり座ったり、基本的に縦で生活しており、骨盤底筋群には常に負荷がかかっています。

位置

骨盤はヒトの体の中心に位置する腰から下の空間です。寛骨・仙骨・尾骨から構成され、脊椎や股関節とつながって、体重を支え、骨格の上半身と下半身をつなぐ重要な役割を果たしています。また骨盤内には、膀胱や腸のほか、女性では子宮や卵巣、男性では睾丸や前立腺など重要な生殖器官が存在しており、それらの内臓や生殖器官を保護する役目もあります。
ちょうど座った時に触れる左右の座骨の間が骨盤底で、約12~14cmの空間で20代の女性では5~9cmの厚みがあります。
骨盤の中で、それらの臓器を下から支えているのが骨盤の底にハンモックのように広がる「骨盤底期群」です。

構成

骨盤底筋群は筋肉・筋膜・結合織(Facia)※から出来ています。

筋肉群

筋肉群

筋肉群は互いに連動しています。

  • 恥骨直腸筋(肛門挙筋)
  • 恥骨尾骨筋(肛門挙筋)
  • 腸骨尾骨筋 (肛門挙筋)
  • 外肛門括約筋
  • 内肛門括約筋
  • 深会陰横筋
  • 浅会陰横筋
  • 外尿道括約筋
  • 球海綿体筋
  • 坐骨海綿体筋

これらの筋肉だけでなく、上の端は背骨の周りにある多裂筋、前は腹筋の深層部にある腹横筋、下は内転筋に繋がり連動し役目を果たしています。またこれらの筋肉群を包み込み、サポートしているのが筋膜です。

筋膜

内骨盤筋膜(Pelvic Fascia):

内骨盤筋膜は、骨盤内の多くの器官を包み込む重要な薄い膜です。この膜は、内臓器官をしっかりと支持し、正しい位置に保つ役割を果たします。内骨盤筋膜には、外側の「浅層内骨盤筋膜」と内側の「深層内骨盤筋膜」の2つの層があります。浅層内骨盤筋膜は外部の器官を包み込み、深層内骨盤筋膜は内部の臓器(たとえば膀胱、子宮、直腸など)を支えています。

骨盤隔膜

骨盤隔膜は、骨盤底筋群を包む膜状の組織です。主要な骨盤底筋群の一つである肛門挙筋の周りに存在します。この隔膜は、肛門挙筋の強度と安定性をサポートすることで主に肛門と膣壁の位置と圧サポートをしています。また骨盤隔膜は骨盤底の上部境界を形成して内臓器官を支えます。

会陰膜(Perineal Membrane):

会陰膜は、骨盤底筋群で最も表層に位置しています。骨盤底の下方にある膜状の組織で、外陰部の底を形成します。尿道と肛門の周りで、尿道外括約筋や肛門外括約筋などの筋肉を包み込んで、主に骨盤隔膜を左右からサポートしています。

これらの筋膜は、筋肉群と一緒に骨盤底を形成し、内臓器官の位置を正しく保ち、排尿や排便、外陰部をコントロールしています。

結合織Facia(ファシア)

筋肉や筋膜の間には、ファシア(fascia)と呼ばれる結合織が存在します。faciaは、主にプロテオグリカンで満たされた、立体的なネットワーク構造であるコラーゲンとエラスチンから構成されています。従来の解剖学におけるホルマリン固定された組織では、このfaciaの立体ネットワーク構造が存在する事は知られていませんでした。これらの分子は、結合織の強度と柔軟性に関与しており、エイジングや動かさないことによるfaciaの変化は、疼痛やGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)、骨盤臓器脱などの症状と関連していると考えられています。

骨盤底筋群の役割

  • 支持機能:骨盤内にある重要な臓器(子宮、直腸、膀胱など)を下から支える
  • 尿道および肛門の制御:尿道、肛門をゆるめたり締めたりして排泄をコントロールする
  • 性的機能:性的な興奮と性的快感のコントロール
  • 腹圧の調整:排便時など腹部に力を入れた際に直腸に腹圧を伝えたり、排泄時に圧力が掛かった内臓を保護する
  • 体幹の安定:腹横筋や多裂筋とつながり一緒に動くことで、体幹の機能にも重要な役割を果たす

このように、筋肉、筋膜、faciaから構成される骨盤底筋群は、骨盤の底で内臓を支え、排泄と性機能いうヒトにとってとても重要な機能をコントロールしています。そして、連動する他の筋肉とともに体幹機能にも深く関与しています。

※定義や分類方法は多説あります

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