Conditions

骨盤臓器脱(POP)

膀胱・子宮・直腸などの骨盤内の臓器が下がってくる状態です。出産や加齢が背景にあることがあります。

女性共通

監修:丸山 真理子(産婦人科専門医)

骨盤臓器脱は、膀胱・子宮・直腸などの臓器を支えている骨盤底の組織がゆるみ、これらの臓器が腟のほうへ下がってくる状態です。

下がってくる感じや、何かが挟まったような違和感として気づかれることが多く、妊娠・出産や加齢、閉経後の変化などが背景にあるとされています。症状の程度はさまざまで、日常生活にほとんど影響がない場合から、違和感が強く生活のなかで気になる場合まで人によって異なります。気になる症状があれば、婦人科(ウロギネコロジー)などで状態を確認してもらうことがすすめられます。

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FIG. 04支えがゆるむと、臓器は少しずつ下がる支えられている

ハンモックに張りがあり、臓器は定位置にある

下がってくる

支えがゆるみ、臓器が少しずつ降りてくる

出口に近づく

下がった臓器が出口に近づき、違和感・はさまる感じに

模式図。下がる臓器(膀胱・子宮・直腸)や進み方は人によって異なります。進み具合の評価は医療機関で行います。

受診の目安

違和感や下垂感がある場合は、婦人科(ウロギネコロジー)で評価を受けることがすすめられます。程度により選択肢が異なります。

早めに相談したいサイン

  • 下がってきた部分が外に出たまま戻らない
  • 出血がある、下がってきた部分がただれて痛む
  • 尿が出せない、または出しにくい
  • 便が出しにくい状態が続く
  • 発熱や強い痛みを伴う

これらに当てはまる場合は、セルフケアで様子を見るのではなく、早めに医療機関にご相談ください。強い痛みや急な変化があるときは、受診できる医療機関を早めに探してください。

主な症状

  • 下がってくる感じ・違和感
  • 何かが挟まったような感覚
  • 排尿・排便のしづらさを伴うことがある

考えられる背景・原因

  • 骨盤底の支持組織のゆるみ
  • 妊娠・出産
  • 加齢・閉経・慢性的な腹圧

なぜ起こるのか(からだのしくみ)

  • 骨盤底には、膀胱・子宮・直腸といった臓器を下から支える筋肉や靱帯、結合組織が層になって存在しています。
  • 妊娠中はおなかの中で子宮が大きくなるにつれて、これらの支持組織に持続的な負担がかかることがあります。
  • 経腟分娩の際には、赤ちゃんが通ることで骨盤底の組織がさらに大きく伸ばされることがあるとされています。
  • 加齢や閉経後のホルモンバランスの変化が、組織のハリや弾力に影響することがあるとされています。
  • 慢性的な便秘や、重い物を持つ機会の多い生活など、繰り返し腹圧がかかる習慣も一因とされています。
  • 支持組織がゆるむことで、臓器が本来あるべき位置よりも下がりやすい状態になっていきます。

セルフケアの考え方

  • 骨盤底のケア
  • 急な腹圧・重い物を避ける
  • 便秘・体重など背景要因のケア

医療機関では何をするのか

  • 問診では、いつ頃からどのような場面で違和感を感じるか、症状の経過を詳しく伺います。
  • 内診によって、臓器がどの程度下がっているか、状態を直接確認する診察が行われます。
  • 下がっている臓器に伴って、排尿や排便のしづらさがないかについても確認されることがあります。
  • 必要に応じて、骨盤の中の状態を確認するための超音波検査などが行われる場合があります。
  • 立った姿勢やいきんだ状態など、症状が出やすい状況を再現して確認する診察が行われることがあります。
  • 確認された状態は、程度に応じた分類に基づいて評価され、今後の相談の土台になります。

実際に行う内容は、症状や施設の体制によって異なります。すべてを一度に行うわけではありません。

対処の選択肢(考え方)

骨盤底のケア

骨盤底の筋肉を意識して動かすケアが、支持組織の働きを保つ方法の一つとして、専門家の指導のもとで取り入れられることがあります。

程度によって見込める変化は異なるとされています。

生活の工夫

重い物を持つ際の姿勢や、便秘による強いいきみなど、骨盤底に繰り返し腹圧がかかる場面を日常のなかで減らす工夫がすすめられることがあります。

リング型のケア用品(ペッサリー)

腟の中に器具を留置して下がった臓器を支える方法が、手術を選ばない場合の選択肢の一つとして、医療機関で紹介されることがあります。

適応やケアの方法は、医療機関での相談によって決められます。

手術による治療

症状や程度によっては、ゆるんだ支持組織を補強したり、位置を整えたりする手術が選択肢の一つとして検討されることがあります。

方法は状態や本人の希望に応じて、医師と相談のうえで決められます。

経過観察

症状が軽く、生活への影響がそれほど大きくない場合には、定期的に状態を確認しながら経過をみていく方針がとられることもあります。

どの方法が適しているかは、原因・程度・生活・ほかの病気の有無によって変わります。当協会は特定の方法や製品をすすめる立場にありません。判断は必ず医療機関で行ってください。

日常でできる工夫

  • 重い荷物を持つときは、体の使い方や持ち方を工夫し、一気に力が入りすぎないようにします。
  • 便秘で強くいきまなくて済むよう、食事や水分のとり方を整え、排便のリズムを見直します。
  • せきが長く続く場合は、腹圧がかかる原因の一つとして、その背景についても医療機関に相談してみることがすすめられます。
  • 長時間立ちっぱなしになる場面をできるだけ避け、こまめに休憩を取り入れるようにします。
  • 体重の増減が気になる場合は、無理のない範囲で日々の生活習慣を見直してみることがあります。
  • 違和感が強く感じられる日は、無理をせず横になって過ごすと、少し楽になることがあります。
  • 気になる変化があれば早めに簡単なメモを残しておき、次の受診の際に医師へ伝えるようにします。

よくある誤解

骨盤臓器脱は必ず手術が必要

程度や生活への影響によって選択肢はさまざまで、生活の工夫やケア用品を使いながら状態の経過をみていく場合もあるとされています。

症状が軽ければ放置してよい

臓器の下がり方の進み方には個人差があるため、症状が軽い段階でも一度医療機関で状態を確認しておくと、その後の選択肢を考えやすくなります。

出産経験がなければ関係ない

出産は背景の一つとしてよく知られていますが、加齢や体質、日頃の生活習慣の積み重ねなど、他の要因が関わっていることもあります。

受診のときに伝えるとよいこと

  • いつ頃から、どのような場面で違和感を感じるか
  • 出産経験の有無、出産回数
  • 排尿・排便のしづらさなど、伴っている症状
  • 重い物を持つ仕事や、便秘の有無
  • 違和感が生活のどの場面で気になるか

よくある質問

骨盤臓器脱は自然に治りますか。

程度や背景によって経過は異なり、自然に軽くなることもあれば、ゆっくりと進んでいくこともあるとされています。気になる場合は一度婦人科で状態を確認することがすすめられます。

どのくらいの症状で受診すべきですか。

明確な基準があるわけではありませんが、下がる感じや違和感が続く、あるいは生活のなかで気になる場合は、程度が軽くても一度相談してみることがすすめられます。早めの相談が、その後の選択肢を広げることにつながります。

運動はしてもよいですか。

運動の可否や適した強度は、症状の程度や体の状態によって異なり、一律に決められるものではありません。気になる場合は、医療機関で相談したうえで無理のない範囲から取り入れることがすすめられます。

ペッサリーは自分で着脱できますか。

使い方や管理の方法については、医療機関で個別に指導を受けることがすすめられます。慣れるまでの期間には個人差があるため、不安があればまずは専門家に相談してください。

本ページの本文は編集部による下書きです。産婦人科・泌尿器科の専門医による監修を経て確定します。

Medical notice

本ページは一般的な情報提供を目的としています。特定の効果を保証したり、診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。

監修:丸山 真理子(産婦人科専門医)