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便失禁

自分の意思とは関係なく便やガスがもれてしまう状態です。相談しにくい悩みですが、対処法があります。

共通女性産後

監修:丸山 真理子(産婦人科専門医)

自分の意思とは関係なく便やガスがもれてしまうことは、経験する人が少なくない一方で、人には話しにくく、ひとりで抱え込みやすい悩みです。

背景には、加齢や出産による骨盤底の変化、下痢や便秘といった腸の状態など、いくつかの要因が重なっていることが多いとされています。原因や程度は人によって異なり、恥ずかしさから受診をためらう方もいますが、状態を整理することで、生活のなかに取り入れられる工夫の選択肢が見えてくることがあります。気になる症状があれば、専門の医療機関に相談することが最初の一歩になります。

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FIG. 10出口は、二重の輪で守られている出口INNER RING内肛門括約筋 ── 無意識に締まる眠っている間も働き続ける、自動の締まり。気づかないうちのもれに関わることがある。OUTER RING外肛門括約筋 ── 意識して締める「今は我慢」を担う、意識的な締まり。骨盤底とつながって働き、急な便意に関わる。どちらの輪がどう弱っているかは検査で調べられ、それによって対処の組み立てが変わります。
模式図。実際の断面はこの通りではありません。出産時の損傷・手術・加齢など背景はさまざまです。

受診の目安

もれがある、生活の質が下がっている場合は、大腸肛門科・婦人科などにご相談ください。恥ずかしがらず相談することが第一歩です。

早めに相談したいサイン

  • 便に血が混じる、黒い便が出る
  • 強い腹痛や発熱を伴う
  • 急に便が出なくなった、おなかが張って苦しい
  • 短い期間に体重が減った
  • 急にもれる回数が増えた

これらに当てはまる場合は、セルフケアで様子を見るのではなく、早めに医療機関にご相談ください。強い痛みや急な変化があるときは、受診できる医療機関を早めに探してください。

主な症状

  • 便やガスが不意にもれる
  • 便意を我慢しにくい
  • 下着の汚れが気になる

考えられる背景・原因

  • 肛門括約筋・骨盤底の機能低下
  • 出産の影響
  • 下痢・便秘などの腸の状態

なぜ起こるのか(からだのしくみ)

  • 肛門を締める筋肉(肛門括約筋)や骨盤底の筋肉の働きは、便やガスを体の中にとどめておく力に深く関わっているとされています。
  • 出産の際には、赤ちゃんが産道を通ることで肛門括約筋や骨盤底の神経・組織に負担がかかることがあるとされています。
  • 加齢に伴って、肛門まわりの筋力や、その動きを支える神経の働きがゆるやかに変化していくことがあります。
  • 下痢が続くと便がやわらかくなり、しっかりと保持する力が追いつかず、もれにつながりやすくなることがあります。
  • 便秘が続いて直腸に便がたまり続けると、その周囲から少量の便がもれ出てしまうことがあるとされています。
  • 直腸で便を感じ取る感覚が鈍くなり、便意そのものに気づきにくくなることも一因として挙げられています。

セルフケアの考え方

  • 便の性状を整える生活
  • 骨盤底のケア
  • 排便習慣の見直し

医療機関では何をするのか

  • まず問診で、もれの頻度やきっかけ、便の性状といった症状の状態を詳しく伺うことから診察が始まります。
  • 続いて、肛門や直腸の状態を直接診る診察が行われ、組織の状態が確認されることがあります。
  • 必要と判断された場合には、肛門の締まり具合を調べる専門的な検査が行われることがあります。
  • 下痢や便秘の背景を調べるため、腸の状態を確認する検査がすすめられる場合もあります。
  • 日々の排便の様子を記録する排便日誌をつけていただき、パターンを把握することがあります。
  • 症状の背景に他の病気が隠れていないかを確認するための検査が行われることもあります。

実際に行う内容は、症状や施設の体制によって異なります。すべてを一度に行うわけではありません。

対処の選択肢(考え方)

生活・食事の工夫

便の性状をやわらかすぎず、かたすぎない状態に整えることを目的に、食物繊維や水分のとり方など、日々の食生活を見直すことがすすめられます。

極端な制限は避け、無理のない範囲で続けることが大切です。

骨盤底・肛門まわりのトレーニング

肛門括約筋や骨盤底の筋肉を意識してゆっくりと動かす運動が、便やガスを保持する力を養っていく方法の一つとして、日常のなかで取り入れられることがあります。

正しい方法には個人差があり、専門家の指導のもとで行うことがすすめられます。

排便習慣の見直し

決まった時間にトイレへ行く、便意を我慢しすぎないなど、排便のリズムを整える生活上の工夫が、症状の頻度を左右する一因として取り入れられることがあります。

薬による治療

便の性状やおなかの動きを整えることを目的に、飲み薬による治療が、生活の工夫と並行して状態に応じて行われることがあります。

種類や使い方は、医療機関での相談によって決められます。

専門的な検査・治療

生活の工夫だけでは症状が続く場合、専門の医療機関でより詳しい検査を行い、状態に応じた治療の選択肢が検討されることがあります。

どの方法が適しているかは、原因・程度・生活・ほかの病気の有無によって変わります。当協会は特定の方法や製品をすすめる立場にありません。判断は必ず医療機関で行ってください。

日常でできる工夫

  • 下着に当てて使うパッドなど、もれに備えるためのケア用品を日常的に活用する方法があります。
  • 外出前にあらかじめトイレの場所を確認しておくと、気持ちの面でも安心につながります。
  • 便秘や下痢のもとになりやすい食事の偏りがないか、日々の食生活を振り返ってみます。
  • 香辛料やアルコールなど、腸を刺激しやすいとされる飲食物のとり方を意識してみます。
  • 睡眠不足や疲労の蓄積も腸の調子に影響することがあるため、休息の時間を大切にします。
  • 一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に今の状態を話してみることも、気持ちを軽くする助けになります。
  • 症状が出た頻度や状況を簡単にメモしておくと、受診の際に医師へ伝えやすくなります。

よくある誤解

年のせいだから仕方がない

加齢は一因ではありますが、それだけで説明できるとは限らず、生活の工夫や医療機関での相談によって、これまで気づかなかった選択肢が見つかることがあります。

恥ずかしくて誰にも相談できない

便やガスのもれは、多くの人が抱えながらも口にしにくい悩みの一つです。専門の医療機関には、同じような相談が日常的に寄せられているとされています。

手術以外に方法がない

生活の工夫や飲み薬など、症状の段階に応じたさまざまな選択肢があるとされています。まずは相談し、自分の状態を整理することからすすめられます。

受診のときに伝えるとよいこと

  • もれる頻度やタイミング(急な下痢の時だけか、気づかずにもれるかなど)
  • 便の性状(かたさ・下痢気味かどうか)
  • 出産経験や、過去の肛門・直腸の手術歴
  • 困っている生活場面(外出・仕事・睡眠など)
  • すでに試している工夫や、市販のケア用品

よくある質問

便失禁は治療で治りますか。

原因や程度によって考え方は異なります。生活の工夫や治療によって、日常生活での困りごとが和らぐ場合があるとされていますが、経過には個人差があり、すべての方に同じ結果が期待できるわけではありません。まずは医療機関で状態を確認することがすすめられます。

何科を受診すればよいですか。

大腸肛門科が専門の相談先の一つですが、婦人科や消化器科でも相談できる場合があります。どこに相談してよいか迷うときは、まずかかりつけ医に相談してみる方法もあります。

検査は痛いですか。

検査の内容や、それに対する体感には個人差があり、痛みの程度も一様ではありません。不安な点や気になることがあれば、検査を受ける前に医療機関のスタッフへ確認しておくと安心です。

若い人でも起こりますか。

便失禁は高齢の方に限った悩みではなく、出産後や腸の病気などをきっかけに、若い世代でも起こることがあるとされています。年齢だけで判断せず相談することがすすめられます。

本ページの本文は編集部による下書きです。産婦人科・泌尿器科の専門医による監修を経て確定します。

Medical notice

本ページは一般的な情報提供を目的としています。特定の効果を保証したり、診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。

監修:丸山 真理子(産婦人科専門医)