受診の手引き

尿もれは何科に相談する?婦人科・泌尿器科・ウロギネ科の違い

2026-10-25

尿もれのタイプと相談先の考え方

尿もれは年齢や出産歴にかかわらず起こり、恥ずかしさから相談が遅れやすい症状です。国際禁制学会(ICS)の定義では、咳・くしゃみ・運動などお腹に力がかかったときに漏れるものを「腹圧性尿失禁」、急に強い尿意が起こって我慢できずに漏れるものを「切迫性尿失禁」、その両方があるものを「混合性尿失禁」としています。走る、重い荷物や赤ちゃんを抱っこして立ち上がるといった場面は、腹圧性の典型です。夜の授乳で眠い中トイレが近い、ジョギングや縄跳びで下着が濡れる、水道の音や鍵を差す瞬間に我慢できないなど、具体的な場面が手がかりになります。

どの科に行けばよいか迷うときは、主な困りごとを軸に考える方法があります。出産後の会陰の違和感や腟の下がる感じを伴う場合は婦人科やウロギネ科が相談先になります。頻尿や強い尿意、夜間に何度も起きるなど「膀胱のコントロール」に関する悩みは泌尿器科が得意とされています。とはいえ、どの科でもまず話を聞き、必要に応じて連携や紹介が行われることが多いので、受診しやすい窓口を選ぶのも現実的です。

受診前に、自分の尿もれが起こる場面と回数、飲み物の種類や量、トイレに行く間隔、夜間の起床回数、使っているパッドの枚数などをメモしておくと評価が進みやすくなります。くしゃみの連発でじわっと滲むのか、急な尿意で一気に漏れるのか、授乳や更衣で寒さを感じたときに出やすいのか、といった違いも大切な情報です。

婦人科で相談しやすいケース

産後の数週間から数か月、抱っこや咳で「少し出てしまう」感じが続く、会陰切開や裂傷のあとが気になる、腟の中に何かが下がるような違和感がある、といった場面では婦人科が相談しやすい窓口です。更年期以降の腟の乾燥感やしみる感じ、性交痛に尿もれや頻尿が重なる場合も、ホルモン変化と骨盤底の関係を含めて評価されることがあります。夜間の授乳中にトイレが近い、走るときに下がるようで不安、といった日常の困りごとも遠慮なく伝えて大丈夫です。

婦人科では、問診に続いて内診(腟の診察)で腟壁や子宮の位置、会陰部の傷の治り方、骨盤底筋の緊張や協調性を確認することがあります。腟鏡を用いて腟の状態を観察し、咳をしてもらって尿道口付近の変化を見る簡単なテストが行われることもあります。必要に応じて骨盤臓器脱の段階評価、腟分泌の検査、超音波で子宮・卵巣の確認が加わります。保存的な対応として、骨盤底筋トレーニングや日常生活での工夫が勧められることが多く、適応に応じて腟内支持具(ペッサリー)の相談や、閉経後症状に対する治療の検討が行われることもあります。

腟から何かが触れる、長時間立っていると股に違和感が出る、タンポンが外れやすい、排便・排尿の姿勢を工夫しないと出にくいなどのサインがあるときも、婦人科で評価が進められます。必要に応じて泌尿器科と連携し、膀胱や尿道の機能面の検査を追加していく流れがとられることがあります。

泌尿器科で相談しやすいケース

トイレが近い、急に強い尿意が来て間に合わない、夜間に何度も起きて睡眠が途切れる、といった「膀胱の症状」が主であれば泌尿器科に相談しやすいです。鍵を回す瞬間や水音で漏れる、帰宅のエレベーターを待つ間に焦る、長距離移動でトイレが心配、といった切迫感のエピソードは重要な手掛かりです。排尿時のしみる感じ、残尿感、熱っぽさなどがある場合は感染の評価が行われます。男性では前立腺の手術後に起こる尿もれや、前立腺肥大に関連する排尿トラブルの相談も泌尿器科の領域です。

泌尿器科では、尿検査で血尿や感染の有無を確認し、膀胱の残尿量を超音波で測る、尿の勢いをみる尿流測定、症状の質問票で日常生活への影響を把握する、といった基本的な評価が行われることがあります。生活調整(飲水・カフェイン・アルコールの見直し、骨盤底筋トレーニング、膀胱訓練)がまず提案され、必要に応じて薬物療法の選択肢が説明されます。状況によっては注入療法や手術が検討されることもあります。肉眼的な血尿や発熱、背中の痛みを伴う場合は、結石や感染など緊急性のある状態の可能性を考えて、速やかな評価が勧められることがあります。

咳やジャンプで漏れる腹圧性の症状が中心でも、泌尿器科で骨盤底リハビリの指導や保存療法が進められることは少なくありません。婦人科・ウロギネ科と連携して、症状のタイプに合わせて方針をすり合わせる体制がとられている地域もあります。

ウロギネ科(女性泌尿器科)とは

ウロギネ科は、婦人科と泌尿器科の境界にある「女性の骨盤底の病気」を専門的に扱う分野です。医療機関によって名称は「女性泌尿器科」「骨盤底外来」「骨盤臓器脱・尿失禁外来」などと表示されることがあります。出産後から続く尿もれと腟の違和感、運動での漏れと強い尿意が混在するケース、性機能や便の出にくさも絡む複合的な悩みなど、骨盤底を総合的にみてほしいときに適しています。

ウロギネ外来では、問診と内診に加えて、骨盤底筋の働き(力の入れ方・脱力のしやすさ・呼吸との協調)を丁寧に確認し、日常の動作(抱っこ、咳、階段、スクワット)と結びつけたトレーニング計画を立てることがあります。保存療法(骨盤底筋トレーニング、生活調整、ペッサリー)を中心に、必要に応じて手術の説明が行われます。地域によっては専門外来が限られるため、まず身近な婦人科や泌尿器科に相談し、必要なら紹介を受ける流れでも問題ありません。

受診の流れと当日の検査

受診前の準備として、2〜3日分の簡単な排尿メモ(起床から就寝までの飲水量と時刻、トイレに行った時刻、漏れた場面と量、夜間に起きた回数)をつけておくと役立ちます。使っているパッドの種類や枚数、洗濯や消臭の工夫、運動や仕事の内容、内服中の薬(血圧・利尿薬・抗うつ薬など)やサプリ、妊娠・出産歴、更年期症状の有無も情報になります。可能であれば薬剤手帳を持参するとスムーズです。

当日は、症状の聞き取りのあと、身体診察が行われることがあります。女性では外陰部から腟の観察、必要に応じて内診で腟壁や骨盤底筋の状態、咳での変化を確認します。男性では外陰部の観察や、必要に応じて前立腺の評価が行われることがあります。診察や検査は同意を得て進み、プライバシーに配慮されます。不安や痛みが心配なときは、その場で伝えると配慮がなされます。

追加の検査として、尿検査、膀胱の残尿量をみる超音波、尿の勢いを測る尿流測定、咳をして漏れが出るかの簡便なテスト(ストレステスト)、症状質問票の記入などが行われることがあります。感染が疑われれば尿培養、血尿が続く場合はより詳しい検査が検討されます。多くは、骨盤底筋トレーニングや生活調整から始め、様子をみながら段階的に選択肢を検討していく進め方がとられます。

受診を考える目安

  • くしゃみ・咳・抱っこ・走るなどでの漏れが気になり、仕事や家事・運動を控えてしまうことがある
  • 強い尿意でトイレに間に合わないことがあり、外出や通勤、育児に支障を感じる
  • 夜中に何度も起きて眠れず、日中の眠気や転倒が心配になる
  • 腟から何か下がる感じや股のこすれ・違和感があり、立ち仕事や長時間歩行でつらい
  • 出産後や前立腺手術後の漏れが続き、不安やストレスが強い
  • 血尿・発熱・背中の痛み・しびれなどを伴うときは、早めの受診や救急受診を検討する

Medical notice

本ページは一般的な情報提供を目的としています。特定の効果を保証したり、診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。

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