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前立腺の手術のあとの尿もれ:男性の骨盤底ケア

2026-10-25

手術後に起こる尿もれのタイプ

前立腺の手術のあと、尿もれを自覚する方は少なくありません。特に前立腺全摘のように前立腺を取り除く手術では、尿道を締める働きを担う組織が影響を受け、しばらくのあいだ尿を我慢しにくくなることがあります。術後早期には、立ち上がる、歩き始める、咳やくしゃみをするなど、腹圧がかかったときに「ツー」と漏れるのが典型的です。こうした「腹圧性尿失禁」は、時間の経過とともに軽くなっていくことがあるとされています。

一方で、急に強い尿意がきてトイレまで間に合わない「切迫性尿失禁」や、頻尿・尿意切迫感だけが目立つこともあります。これは膀胱の興奮性が高くなることが関係するとされ、前立腺の内視鏡手術(TURPやレーザー手術)後でもみられることがあります。尿道の通り道が広がった変化や、手術前からの膀胱の状態が関係することが知られています。

「しっかり出し切ったつもりなのに、パンツに数滴しみる」という、排尿後のポタポタ(遷延滴下)を訴える方もいます。これは会陰や尿道球部にたまった尿が、移動や体勢の変化で出てくるために起こるとされます。骨盤底筋や会陰部の筋肉の協調が整ってくると軽くなることが期待され、ちょっとした習慣や体の使い方の工夫が役に立つことがあります。

日常で気づきやすい場面と対処の工夫

朝、ベッドから起き上がるときに一瞬もれる、靴下をはこうと前かがみになると漏れる、職場で椅子から立つたびにヒヤッとする。こうしたときは、動き出す直前に骨盤底をそっと締めておく「予防収縮(ザ・ナック)」が勧められることがあります。息を止めず、口を軽くすぼめてフッと吐きながら、お尻の穴と尿道を同時に内側に引き上げる意識を持つのがコツです。動作の直前に1〜2秒だけ行い、そのままスッと立ち上がると、腹圧の衝撃を和らげやすくなります。

咳・くしゃみ・笑いが続く場面、重い荷物を持ち上げる場面、ランニングや階段昇降などの運動時にも同じ考え方が役立ちます。くしゃみが出そうなときは、体をやや前に傾け、足幅を少し広げ、骨盤底を先に「キュッ」と収縮。持ち上げ動作では、できるだけ体に荷物を近づけて、吐く息とともに持ち上げると、下向きの圧を抑えやすくなります。運動再開は主治医の許可の範囲で、最初は歩行や自重トレーニングから始め、調子を見ながら段階的に負荷を上げると安心です。

外出時や会議前には、事前にトイレに行く「予防排尿」、移動の計画に余裕を持つ、座面からの立ち上がりは前傾と足の踏ん張りを使う、といった工夫が助けになります。夜間の尿もれや頻尿が気になる場合は、就寝前2〜3時間の多量の水分やアルコール・カフェインを控えること、寝る前に一度排尿しておくこと、夕食後は塩分を控えてむくみ対策をすることが勧められる場合があります。排尿後のポタポタには、排尿後に会陰部を数回やさしく持ち上げる「ミルキング」や、数歩歩いてからもう一度座って少量出す「ダブルボイド」が提案されることがあります。

骨盤底筋トレーニングのポイント(男性)

骨盤底筋トレーニングは、前立腺手術後の尿もれ対策として広く用いられています。男性の場合、「おならを我慢して肛門を内側に吸い上げる感覚」と「尿道の中ほどを細くする感覚」を同時に意識すると、適切な筋に入りやすいとされます。お腹やお尻、太ももの力み、息止めが混じると狙いが外れやすいので、胸や肩の力を抜き、自然に息を吐きながら行いましょう。排尿中に流れを止めて確認する方法は、筋の同定のために最初の数回だけにとどめ、習慣的には行わないことが勧められることがあります。

姿勢は、仰向け・横向き・座位・立位の順に難しくなります。術後まもない時期は、仰向けで膝を立て、会陰を内側へそっと引き上げる短い収縮を5回ほど、次に3〜5秒のやや長い収縮を3回ほどから始めます。慣れてきたら座位・立位へ進み、日中の動作と結びつけて使えるようにしていきます。ポイントは「質」と「呼吸」で、強く長くやるよりも、狙った筋に静かにスイッチを入れる感覚を育てることが大切とされています。

一日の中で小分けに続けると、負担が少なく継続しやすくなります。朝の着替え前に数回、昼休みに椅子で数回、夜のテレビ前で数回と、生活のリズムに結びつけるのもよい方法です。荷重のかかるエクササイズ(スクワットやブリッジなど)では、動作を始める直前に骨盤底を軽くオン、息を吐きながらゆっくり動くと連携が整いやすくなります。理学療法士などによる指導やバイオフィードバックが有用とされることもあり、自己流でうまくいかない時期は専門的サポートを受ける選択肢があります。

受診すると何をする?検査と治療の流れ

受診では、いつから・どの場面で・どの程度漏れるのか、日中と夜間での差、パッドの使用状況、手術の内容や合併症の有無、便通や薬の状況などが丁寧に聴き取られます。数日間の排尿日誌や、どれくらい濡れたかのメモがあると、今の状態を客観的に共有しやすくなります。診察では下腹部や会陰の診察、咳テスト、神経学的な簡単なチェックが行われることがあります。

検査としては、尿検査で感染や血尿の確認、尿流測定と残尿量の測定で排尿の勢いや出し切りを評価します。必要に応じて内視鏡(膀胱鏡)で尿道や吻合部の狭窄がないかを確認したり、膀胱の働きを調べる尿流動態検査が行われることがあります。こうした結果を踏まえ、腹圧性が中心か、切迫性が中心か、混在しているのかが推定され、方針が組み立てられます。

治療は、まず保存的な方法が基本になることが多いです。骨盤底筋トレーニング、生活習慣の調整(体重管理、便秘対策、カフェインやアルコールの摂り方の見直し、就寝前の水分の工夫)、膀胱訓練(尿意が出たときに短時間こらえて間隔を少しずつ延ばす方法)などが組み合わされます。切迫感が目立つ場合には、膀胱の興奮を抑えるタイプの内服薬が勧められることがあります。腹圧性の尿もれが長く続き日常生活に大きく支障する場合には、男性スリング手術や人工尿道括約筋の埋め込みなど、外科的治療が検討されることがあります。状況によっては、外出時の安心のために吸水性の高いパッド類や、陰茎先端に装着する集尿器などの補助具が案内されることもあります。

受診を考える目安

  • 手術後しばらく経っても、立ち上がり・咳・くしゃみなどの日常動作での尿もれが強く、不安や行動の制限が大きいとき
  • 夜間の頻尿や強い尿意、切迫性の尿もれが続き、睡眠や体調に影響していると感じるとき
  • 排尿後のポタポタが改善せず、外出や仕事でのケアが負担になっているとき
  • しみる・痛い・発熱・血尿・濁りなどの尿路感染を思わせる症状があるとき
  • 尿の勢いが弱い、出にくい、残っている感じが強いなど、他の排尿トラブルを同時に感じるとき
  • 骨盤底筋トレーニングを独学で続けても変化が乏しく、専門職の評価や方法の見直しを希望するとき

Medical notice

本ページは一般的な情報提供を目的としています。特定の効果を保証したり、診断・治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。

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