尿漏れ（尿失禁）

誰にでもある尿もれの悩み

ある研究によると尿漏れは女性の40～50%程度が生涯にわたって何らかの程度の尿漏れを経験するとされています。一般的に、尿漏れ高齢者の問題だと考えられがちですが、実際には全世代が悩むことがある症状です。

日本で行われた20～60代を対象にしたある調査によれば、20歳代以上の女性の2人に1人以上が尿漏れの経験がありました。特に注目すべきは、20代の尿漏れ経験者の中で、出産経験のない女性が63.4％を占めているという点です。つまり、尿漏れは年齢や出産経験に関係なく、あらゆる世代で発生する可能性が高いと言えます。

気が付かれていない？！「尿漏れ」

驚くべくことに、尿もれの経験がある20代から60代の女性に対する調査では、自分で「気づいている」と回答した人が47.6％であり、一方で「気づいていない」と回答した人が52.4％でした。つまり、自身のUI（尿もれ）症状に気づいている人と気づいていない人はほぼ半々の割合でした

こんなお困りはありませんか

尿漏れおよびその周辺症状には幾つかの種類があります。毎日ではなくても、大人になってからこれらを１度でも経験していれば、尿漏れの経験があるということです。

• 笑ったり、咳をしたり、スポーツをしたときに意識をせずに尿が漏れる
• 立ち上がった時に尿が漏れる
• トイレが終わったと思ったのに、立ち上がった際に残りの尿が出る
• 尿のキレが悪く、排尿後にもダラダラと染み出るように出てくる
• 気が付かないうちに尿が漏れている、下着が汚れることがある
• １日何回もトイレに行きたくなる（１日8回以上～）
• トイレに急に行きたくなり、間に合わず尿が漏れる
• 寝ている間に尿が漏れる
• 寒いときや体が冷えたりすると尿が漏れる
• 冷たい水を触った時に尿が漏れる

尿漏れの種類と原因

尿漏れにもさまざまなタイプが存在します。以下に、主要な4つの尿漏れ（尿失禁）の種類とそれぞれの原因について説明します。

1.腹圧性尿失禁

症状： 重い物を持ち上げたり、走ったりジャンプしたり、くしゃみをしたりする際に、お腹に圧力がかかると、尿が漏れてしまいます　尿の付着で陰部に炎症がおきたり、下着が汚れたり、尿漏れパッドが欠かせない、運動をしたくても尿漏れが起きるためやりたくなくなるなどの困りがごとが生じます。

原因： 腹圧性尿失禁は、骨盤底筋群が弱くなり、尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むことによって引き起こされます。エイジングや妊娠、出産、肥満、荷物の持ち運び、排便時の強いいきみ、喘息などが原因となることがあります。

2.切迫性尿失禁

症状：突然、強い尿意を感じ、我慢できずに漏れてしまいます。ちょっちゅうトイレに行きたくなるなど、外出中や乗り物に乗っている際に問題が生じることがあり、外出を控えるなどQOLが下がるのが特徴です。

原因：切迫性尿失禁は、膀胱の過度な収縮または過活動膀胱（Overactive Bladder, OAB）と関連しています。神経・筋肉の調節に問題があり、尿意を感じないままに膀胱が収縮し尿が漏れてしまいます。骨盤底筋の緩みをはじめとするエイジングや、脳卒中などの神経障害や糖尿病、お薬の副作用、膀胱炎、飲食の習慣が原因となる場合もあります。

3.溢流性尿失禁

症状：何らかの理由で尿を出し切るのが難しく、少しずつ漏れ出てしまいます。比較的高齢の方に多いのが特徴です。

原因：溢流性尿失禁では、物理的または神経的な理由により尿が出にくくなる「排尿障害」が前提にあるはずですが、その事に気が付かない方もいます。男性では、前立腺肥大症が一般的な原因です。また糖尿病や脳や神経の疾患などで、排尿をコントロールする膀胱周囲の神経の機能低下も関与することがあります。また、膀胱の手術や直腸癌や子宮癌の手術後などに生じることもあります。

4. 機能性尿失禁

症状：排尿機能自体は正常であるにもかかわらず、脚などの運動機能の低下や認知症が原因でトイレまで間に合わない、あるいはトイレで排尿できないことがあります。

原因：機能性尿失禁は、排尿機能が正常であるにもかかわらず、身体機能の低下や認知症が原因で発生することがあります。この種の尿失禁の治療には、介護や生活環境の見直し等も必要になります。

まとめ