Consultation guide
診察室1分シート
診察室で、医師のほうから最初に聞くための一枚です。聞くこと・声かけの例・専門医への紹介の目安を、日本の診療ガイドラインに沿ってA4 1枚にまとめました。
01
日本の調査が示していること
Data症状があっても、受診に至っていない人は多くいます。日本排尿機能学会の調査では、過活動膀胱に該当する女性で受診している人は約1割です。患者さんから切り出されるのを待つだけでは、相談につながらない場面があります。
9.9%過活動膀胱に該当する女性のうち、医療機関を受診している人の割合(男性は20.3%)
9.0%下部尿路症状のために医療機関を受診している40歳以上の女性の割合(2003年の調査。男性は27.4%)
86.4%受診しない理由で最も多い「症状に困っていない」(複数回答)。次いで「病気だと思っていない」16.9%、「年のせい」15.0%。「恥ずかしい」は6.0%
出典:日本排尿機能学会「JaCS 2023」(Mitsui T, et al. Int J Urol 2024;31:747–754。2023年・20〜99歳6,210人・インターネット調査)。2003年の調査は、女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版]4章(40歳以上の男女4,570人)の記載。調査ごとに対象・方法・定義が異なるため、数字どうしの単純な比較はできません。
02
シート
Sheet診察室1分シート
NAPH 全国骨盤底協会
01最初に聞くこと
- どんな症状が、いつから、どのように変わってきたか尿もれ・頻尿・夜間の排尿・尿の出にくさ・腟に下がる感じ。夜間に起きる場合は、眠れているかも聞く
- 症状でどれくらい困っているか支障度は本人に聞く。医療者の見立てと、本人の感じ方はずれやすい
- もれるのは、力んだときか、強い尿意のときか咳・くしゃみ・走る・重い物を持つなど。前者は腹圧性、後者は切迫性が考えられる。両方あれば混合性
- これまでの病気と手術脳血管障害・神経疾患・糖尿病・脊椎疾患・子宮や骨盤内の手術・骨盤への放射線治療
- 腟に何かが下がる・はさまる感じはないか骨盤臓器脱があると、蓄尿と排尿の両方の症状が出やすい
- 飲んでいる薬下部尿路症状を起こしうる薬がある
02声かけの例
- 切り出す(別の理由で受診したとき)「トイレのことで、困っていることはありませんか。」
- 「年だから仕方ない」と言われたとき「年齢だけが原因とは限りません。原因を確かめると、できることがあります。」
- 恥ずかしそうにしているとき「この相談は多いです。診察室では、ふつうにうかがっている話です。」
- 話したくなさそうなとき「今日は話さなくても大丈夫です。気になったときに、いつでもどうぞ。」
03専門医への紹介の目安
- 発熱を伴う膿尿腎盂腎炎などの上部尿路感染症が示唆される。速やかに
- 血尿(肉眼的・顕微鏡的・尿潜血陽性)尿路悪性腫瘍を除外する。過活動膀胱として漫然と治療しない
- 尿閉、または残尿が多い残尿100 mL以上(75歳以上は50 mL以上)
- 尿路感染症が再発する、抗菌薬でも改善しない
- 膀胱・尿道・会陰部の痛み尿がたまると強くなる場合は、間質性膀胱炎が示唆される
- 腟の外に出てくる骨盤臓器脱、下腹部の膨隆
- 持続する尿失禁(乾いている時間がない)膀胱腟瘻などが疑われる
- 骨盤部の手術・放射線治療、神経疾患の既往
- 排尿・排尿後症状が主体、尿意切迫感のない頻尿
- 行動療法・薬物療法で十分な効果が得られない
04患者さんに渡せるもの
- 受診メモ(症状セルフチェック) pelvicfloor.jp/assessment
- 排尿日誌 pelvicfloor.jp/diary
根拠:女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版](日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会)/過活動膀胱診療ガイドライン[第3版]
監修:丸山 真理子(産婦人科専門医)
診断・治療に代わるものではありません。 pelvicfloor.jp
A4 1枚。診察室の机や、院内の掲示にお使いください。
03
使い方
How to use- 診察室の机や、院内の掲示にお使いください(A4 1枚・印刷またはPDFで保存)。
- 患者さんには、受診メモ(症状セルフチェック)と排尿日誌をお渡しいただけます。
- 紹介の目安は診療ガイドラインの要約です。個々の判断は担当医が行ってください。